スクールフランチャイジング(サッカー)

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経済危機のまっただなかにあるヨーロッパのポルトガルで、スクールフランチャイジングという試みが始まった。

ボスマン判決以降、サッカー選手の移籍金と年棒が高騰し、金持ちクラブと貧乏クラブの格差が広がり、そこにオイルマネーが加わっているのが欧州サッカー界。
その中で、ポルトガルは貧しい方の国に入るため、いい選手が育っても年棒・タイトル・最高峰の舞台への挑戦(CL等)などで劣るため、引きぬかれていく。

しかし、逆に選手を育てて上手く売却できれば巨額の移籍金が入る美味しいビジネスとなる。
その試みの一つが、「スクールフランチャイジング」

サッカー界の移籍金

ロナウドやジダンの移籍金は100億円以上(当時のレートで)
給料ではなく、前所属クラブとの契約を解除する違約金の額です。
かつて日本の東京Vや川崎Fでプレーしていたフッキの違約金設定は、1億ユーロ(100億円以上)

日付 選手 移籍金 移籍先 放出球団
2009.6.11 クリスチャーノ・ロナウド 8100万ポンド レアル・マドリード マンチェスターU
2001 ジネディーヌ・ジダン 6500万ポンド レアル・マドリード ユヴェントス
2009.7.23 ズラタン・イブラヒモビッチ 6000万ポンド バルセロナ インテルミラン
2009.6.9 カカ 5700万ポンド レアル・マドリード ACミラン
2000 ルイス・フィーゴ 5500万ポンド レアル・マドリード バルセロナ
2011.1.31 フェルナド・トーレス 5000万ポンド チェルシー リヴァプール
2000 エルナン・クレスポ 4800万ポンド ラツィオ パルマ
2001 ジャンルイジ・ブッフォン 4700万ポンド ユヴェントス パルマ
1999 クリスチャン・ヴィエリ 4000万ポンド インテルミラン ラツィオ
2006.6.31 アンドレイ・シェフチェンコ 4000万ポンド チェルシー ACミラン

 

スモールクラブのスタンス

そのため、スモールクラブでは選手を育てて売るサイクルをいかに作るかが大切です。
成功しているクラブが、ポルトガルのポルトやイタリアのウディネーゼ、イングランドのアーセナル(?)など。

スクールフランチャイジング

ワールドサッカーダイジェストによると、以下の通り。

クラブは、それぞれの地域にある施設や既存のクラブとフランチャイズ契約を結ぶ。
そして、クラブ専任のコーチが派遣され、子供達の指導にあたる。
子供達は、プロになるための技術・戦術・規律を一定レベル以上で受けられるメリットがある。

このスクールを始めたのは、スポルティング・リスボン、そしてベンフィカ・FCポルトが続いている。

プロフットボーラーを目指す上で、名門クラブの名前は憧れの存在。
そして、夢見る我が子に対して親も投資を惜しまない。

ベンフィカは、スクールのフランチャイズ権の売却料だけで、3万ユーロ(約300万円)を手にしている。
さらにスクールに通う子供達の月謝が一人約50ユーロ×6千人
加えてベンフィカのソシオ会員への入会が義務付けられ、会員数が約30万人。

経済効果と育成効果

経済効果に加えて優れた才能を持つ選手を発掘しやすくなり、ご褒美として少年達を試合に招待したり、プロ選手に会わせたりすることでクラブへの忠誠心と才能向上に結び付けられる。

ポルトガル国内で成功を収めつつある事で、アメリカやブラジル・アフリカなどにその可能性を広げようとしている。

・優れた才能を持った子供の発掘
・クラブ会員やファン・サポーターの増加
・フランチャイズ権や月謝収入
・世界中に名前を広めるチャンス

欠点は、国内での格差拡大、名前が売れていて魅力的なクラブが、どんどんフランチャイズ化していくと、コンビニチェーンと同じく系列が出来上がり、系列に入らない選択がなくなるかもしれない。

サッカー界のビジネス

ケーブルテレビや衛星放送の進展に伴い、世界中にテレビ放映が行われるサッカー。
その巨額なテレビ放映権は、試合時間を左右する。

スペインやイタリアでは現地時間20時~22時(アジアの夜中から早朝)の試合開始が当たり前だったのに、アジアのテレビ放映権目当ていランチタイムキックオフの取り入れを行いつつある。

アジアの夜中(20時~24時)だと試合を見てくれるから、お金が入る!

バルセロナなども中国や日本にスクールを作り、アジアのファンを増やし、アジアの選手をチームに入れようとしている。
スクールフランチャイジングはポルトガルだけではない。
自国の選手がチームにいれば人気があがる。

ドイツ、ボルシア・ドルトムントに移籍した香川真司の移籍金は、たったの35万ユーロ(約4200万円)。
リーグタイトルに貢献し、チームの中心選手となった今なら、香川の移籍金は約10億~20億円と言われている。

ボーナスどころかチップだと言われる位。

ブンデスリーガ全体としても日本に放映権が売れてグッズも売れる。
香川・長谷部・内田・チョンテセなどがドイツに、安田・ハーフナーマイクがオランダに、駒野・川島がベルギーに、宮市がイングランドにいるのはスポーツ的・ビジネス的にプラス要素が大きい。

日本のサッカークラブも同じ事がアジア全体でできるはず。

サッカークラブ長者番付「デロイト」

国際監査法人デロイトが公表しているサッカークラブの長者番付が、「フットボール・マネーリーグ」。
最新版の2010-11版が公表された。

なお、トップ20クラブの合計収入は44億ユーロ(約4498億円)に及び、これは欧州全クラブの約25%に当たる。

=以下、「フットボール・マネーリーグ」トップ20=

1位レアル・マドリー(ESP):490億円 [1位/448億円]
2位バルセロナ(ESP):459億円 [2位/406億円]
3位マンチェスターU(ENG):374億円 [3位/357億円]
4位バイエルン(GER):328億円 [4位/329億円]
5位アーセナル(ENG):256億円 [5位/280億円]
6位チェルシー(ENG):255億円 [6位/262億円]
7位ミラン(ITA):240億円 [7位/249億円]
8位インテル(ITA):216億円 [9位/229.8億円]
9位リヴァプール(ENG):208億円 [8位/230.3億円]
10位シャルケ(GER):207億円 [16位/143億円]
11位トッテナム(ENG):185億円 [12位/150億円]
12位マンチェスターC(ENG):173億円 [11位/156億円]
13位ユヴェントス(ITA):157億円 [10位/210億円]
14位マルセイユ(FRA):154億円 [15位/144億円]
15位ローマ(ITA):147億円 [18位/125億円]
16位ドルトムント(GER):142億円 [ランク外/108億円]
17位リヨン(FRA):136億円 [14位/149.3億円]
18位ハンブルガーSV(GER):132億円 [13位/149.4億円]
19位バレンシア(ESP):119億円 [ランク外/102億円]
20位ナポリ(ITA):117億円 [ランク外/94億円]

※ESP=スペイン、ENG=イングランド、GER=ドイツ、ITA=イタリア、FRA=フランス
出典:ISM 

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